刑事弁護

証拠保全をやってみた その4(刑事事件編)

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    裁判官と書記官さんが某署に来られたので、お出迎え。

    一緒に刑事課へ。

    責任者っぽい人が、え?何事?そんな大げさなことしなくても・・・的な感じで、
    けっこう戸惑った対応されてました。

    Aさんが呼ばれ、裁判官から決定が告知され、いまからAさんの
    傷の状態を写真に撮りますからねと説明。

    書記官さんが、汗だくで良い感じにパシャパシャ写真を一生懸命
    とってくれました。
    傷の状態も一つ一つ確認しました。
    全ての手続きは検証調書作りのために録音されてましたね。

    最後に決定書を受領したんですが、事件番号が1号でした。

    私が、へー1号なんですね、ま、そんなにやりませんよね、と言うと

    書記官さんが、はい、5年ぶりの証拠保全です、と。

    え!そんなに無いんだ!めちゃレア手続き。

    当然、私も、裁判官も書記官さんもみんな初めてで、なんかふわふわ
    した感じであっという間に検証の時間が過ぎましたが、できあがった検証調書
    はAさんの傷の状況をちゃんと示したものでした。

    証拠保全って、スピードが要求されるのでやる方はちょっと負担が重く感じますが
    やってみるとそうでもなかったかな、と思いました。

    証拠保全の方法に寄らなくても、接見室で自分でデジカメで撮影して保全するって
    方法もありっちゃありですが、無理解な組織と無用なトラブルを招くので、後々
    面倒なことになるくらいなら正攻法で攻めるのが一番かもしれません。

    というわけで、以上が証拠保全(刑事事件編)でした。 

    おわり。

    刑事弁護

    証拠保全をやってみた その3(刑事事件編)

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      申立書を提出してから丸一日経過し、連休が明けてしまいました。

      うーん、まさか却下とか無いよね。

      と思っていたとろ、裁判所から電話が!

      証拠保全の申立の件で、検証に行きますとの連絡が。
      日程調整したいと。

      いつが良いかって?

      今日!今すぐ来て!何時でも良いから来て!

      いや、それはちょっと無理です。

      じゃ、明日!

      分かりました、明日、伺います。

      というわけで、申立から2日後に検証が行われることになりました。
      Aさんには、明日裁判官が来るからね。とりあえず、傷の写真を撮ってもらいましょう
      と伝えましたが、Aさん、裁判官が来るってホントかなぁと半信半疑の様子でした。

      Aさん、留置管理係の方に「Aさんの聞き間違いだよ。俺が警察にいて何年もなるけど
      裁判官が来たことなんて一度も無いよ。」って言われたらしいです。

      そして、翌日、裁判官と書記官が警察署に現れる・・・。

      つづく。

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      証拠保全をやってみた その2(刑事事件編)

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        さて、証拠保全をやるときの一番のポイントは「スピード」です。

        証拠保全は、規定にあるとおり「あらかじめ証拠を保全しておかなければ

        使用することが困難な事情」があるときにやる手続きですので、
        やるとなったら、スピードが命です。
        やろうかな、どうしようかな、明日にしようかな、明後日にしようかな
        な〜んて悠長なことを言っていては駄目なのです。

        やると決めたら、すぐやる!
        猛烈な勢いで起案して、すぐに裁判所に出す!

        昨年のゴールデンウィーク真っ直中の休日当番待機日。
        出動要請があり、某署に接見に行くと・・・被疑者(以後、Aさんと言います。)

        「俺が先に殴られたんだけど。」
        そうなんだぁ・・・と聞いてAさんの顔をみると、
        ん?傷あるな。
        右目頭のところに傷が。よく見ないと分からない。
        まだ青くなってきていないが、よく見ると殴られた後だなと。

        警察に言ったか?→相手にされない。
        病院に連れてってもらったか?→行ったけど、傷がないと言われた。
        警察は写真撮ったか?→とられていない。

        ふーん、こりゃ、先に殴ったか殴られたかはとりあえず、置いといて、
        これを保全しないと後悔するかもなぁ

        とりあえず、警察に病院連れて行けと抗議。
        全く取り合う様子なし。

        くっそー見てやがれ、ぎゃふんと言わせてやるからな、ふっふっふ。

        速攻事務所に戻り、警察への抗議文を作成。
        その後、裁判所宛の証拠保全申立書を起案。警察への抗議文を資料として添付。

        翌日、早朝、GW真っ直中の本庁の当直に申立書提出。

        当直担当の書記官さんが・・・・

        「!!!!!!証拠保全ですかぁ。」むむむぅって感じの反応で受理してくれました。

        「そうです、一日中待機してますから早く連絡くださいね!ね!」
        (休みだけどね!連絡待ってまっせ!)

        が、しかし、その日一日中携帯握り閉めて待ってましましたが
        連絡がありませんでした。
        Aさんの傷は、良い感じに青みを増してきていたので、一刻も早く保全したいのに・・・

                                              つづく


         

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        証拠保全をやってみた その1 (刑事事件編)

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          今回は、かなり実務的な内容のことを。

          裁判は、証拠が全てです。
          これは、民事事件も刑事事件も同じです。

          立証出来なければ、負けです。

          例えば、DV離婚事件で、「夫に殴らました。」と言ったところで
          診断書も無ければ、写真もない、警察に相談した形跡もない、もちろん
          今はその傷も治癒されている、となれば
          殴られたことが認定さえることはかなり難しいと思います。

          ですので、もしもの時に備えて何でも写真に撮っておくのをお勧めします。
          自分で証拠を保全することは大切です。

          でも、自分では証拠を保全することが出来ない場合もあります。

           ・相手方、第三者が証拠を持っている場合
           ・身柄が拘束され、自由が無い場合

          この二つの場合は、自分で証拠を保全することが出来ません。

          そこで、法が定めているのが「証拠保全」の規定です。

          民事訴訟法では234条に証拠保全の条文があります。
           「裁判所は、あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を
           使用することが困難となる事情があると認められるときは、申立てにより、
           この章の規定に従い、証拠調べをすることが出来る」
           よくあるケースは、医療訴訟で、訴え提起前にカルテなどの証拠を保全する
          ことがありますね。(やったことないけど)
          民事訴訟が想定しているのは、主に「相手方、第三者が証拠をもっている場合」
          でしょう。

          刑事訴訟法では179条に証拠保全の条文があります。
           「被告人、被疑者又は弁護人は、あらかじめ証拠を保全しておかなければ
           証拠を使用することが困難な事情があるときは、第一回公判期日前に限り
           裁判官に押収、捜索、検証、証人の尋問又は鑑定の処分を請求することが
           できる。」
           よくあるケースは、不当な取調がなされ、被告人が接見しに来た弁護人に
           刑事に殴られました!と訴えてそれを保全する場合があります。

          証拠保全をやるというのは、民事でも刑事でも珍しい手続きだと思いますが、
          昨年、果敢にも刑事事件で証拠保全の手続きを利用してみました!

          その具体的内容は・・・・つづく。

          刑事弁護

          無罪判決1

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             みなさん、明けましておめでとうございます・・・。って、もう
            1月も半ばですね(汗。

            去年の最後の更新に「今年を振り返る その1」と題していながら、
            その2を書く暇もなく、新年が明けてしまいました。

            そして、新年早々、多数の問い合わせを頂くなど、平成25年は
            好スタートが切れています。

            さて、好スタートといえば、今年初っぱなの刑事裁判判決で
            「無罪」判決をもらいました。

            といっても、追起訴分のみの無罪なので、いわゆる「一部無罪」
            ですけど・・・。
            刑事事件で「争う」と一言で言っても、色々な争い方があるのですが、
            今回は、

               「犯人性」
            を争いました。

            被告人は、犯人ではありません。被害は発生していて、何者かがやった
            ようですが、それは被告人がやったのではありません。
            という争いをしました。

            被告人は、当初取り調べで、記憶にない、知らない等言っていたようですが、
            度重なる取り調べの結果、認める内容の調書を取られていました。
            残念ながら、取り調べ段階(被疑者段階)では弁護人が付いていませ
            んでした。そのため、虚偽の自白調書の作成を阻止できませんでした。

            既に自白調書が「証拠」としてあるので、裁判ではその自白調書が信用できない!
            嘘っぱちである!と主張していく必要があります。
            結構大変です。

            幸い、客観的な証拠で犯人と被告人を結びつける証拠がなかった
            (たとえば、目撃証言とか指紋や足跡等)ので、その点を全面に押しだし、
            さらに「調書には絶対おかしな点があるはずだ!」と何度も繰り返し
            読み、調書の不自然な点を弁論で主張しました。

            今回は、何とか裁判官にこちらの主張を理解してもらえましたが、
            毎回こうなるとは限りません。

            もし、裁判官が調書は信用できると判断したらどうでしょうか?
            客観的証拠で被告人と犯人を結びつける証拠が一つもないのに、
            被告人の自白調書と被害結果のみで有罪となってしまいます。

            恐るべし、自白調書。

            今回の件で思ったのは、えん罪を防ぐためには、なんとしても
            虚偽の調書を作成されないことがいかに大切かということです。
            そして、虚偽の自白調書が作成されないためには、取り調べの
            全面可視化、全部録音・録画は避けては通れないのではないか
            と思います。

            そして、検察は証拠を十分吟味し、自白に頼った起訴を慎むべき
            だと心底思いました。

            ちなみに、この事件は、前回の記事の事件とは別の事件です。

            ☆☆刑事弁護人をお捜しの方は、栗田法律事務所まで☆☆

            刑事弁護

            今年を振り返る その1

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              みなさん、いよいよ平成24年もあと数日ですね。

              栗田法律事務所は平成24年1月5日に開所しましたので、もうすぐお陰様で1年です。
              あっという間の1年だったとも思うのですが、振り返ってみると、色々なことがありました。

              特に、平成24年を振り返るのに欠かせないのが、「刑事事件」です。

              いつも家事事件のことばかり書いているので、こいつは家事専門弁護士じゃないか?
              と思われるのですが、いやいや、ばりばり刑事事件やってます。

              刑事事件の弁護人は、弁護士にしか出来ない仕事です。
              地方で弁護士をやっていれば、避けては通れません。

              国選事件が主ですが、私選事件で受任することも多いです。

              国選だと手抜きだとか、あまり接見に来てくれない等言われることもありますが、
              少なくとも私は一切手抜きをしません。
              国選は報酬も少ないので、経営者としては、間違っているのかもしれませんが、私は経営者である前に、弁護士であるので、どうしても適当に出来ないのです。

              間違っていることや、おかしいと思うことをきちっと堂々と主張できるのがこの仕事の良いところですので、なーなーに権力に従うことはしませんし、どうせ無理だとやる前から諦めることもしません。

              もちろん、主張しても裁判所にわかってもらえないことはあります。
              そういうときは、非常にむなしくなりますし、自分の力不足が嫌になることも多々あります。

              今年もそんなことが多々ありました(涙。

              しかし、時には報われることもあります。

              今年は、否認事件で第一回公判前に保釈請求をしたところ、
              保釈が認められたのです☆

              否認事件での保釈請求は、極めて認められにくいのです。
              検察官から怒りの即日準抗告(不服申立)がなされましたが、それも棄却され、
              身柄を解放させてあげることが出来ました。

              「身柄を一日も早く解放する」ことは、弁護人の使命でもあるのですが、いかんせん、日本の司法は「人質司法」と言われるように、いとも簡単に逮捕・勾留を認め、そして保釈を認めず、裁判が終わるまで勾留し続けるのです。ひどい話です。

              こんな現状にさせているのは弁護士にも責任があると思っています。

              つまり、弁護士がやる前から諦めているからです。どうせ、無理だしと。
              認められないことが続くと、次第にやらなくなるんですよね。
              主張が認められないことほど辛いことはありませんから。
              ぐったりします。むなしくなります。

              正直、私も否認事件の被告人に保釈請求して欲しいと言われたとき、
              「全力は尽くすけど、期待はしないでね。」
              と言いました。

              それが、まさかの結果となりました。
              やってみなきゃわかんないじゃん!とまさに自分自身で体感しました。

              やる前から諦めちゃ駄目だと感じた、今年あった一番嬉しかった出来事でした♪


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